読む鉄道、観る鉄道 (17) 『駅 STATION』 - 北海道・留萠本線がにぎわった頃、高倉健が残したドラマ
次の場面、三上の妻子はED76が引くオハ35系客車で旅立つ。
こんな場面から始まれば、物語も、鉄道の場面も期待してしまう。
その期待通りの美しい映像で、鉄道も描かれる。
物語の主軸となる路線は留萠本線だ。
旅客列車は新品でぴかぴかのキハ40形と、郵便荷物車のキユニ21形の2両編成。
どの時間も車内は混んでいる。
増毛~留萠間の気動車列車は短いが、貨物列車は長かった。
留萠駅からは羽幌線(1987年廃止)が分岐し、羽幌炭鉱からの貨物列車が留萠駅に集積した。
炭鉱といえば、劇中では函館本線上砂川支線(1994年廃止)も登場する。
石炭輸送でにぎやかな上砂川駅の映像は、資料としての価値も高い。
羽幌炭鉱が稼働していた頃の留萌はにぎわっていたようだ。
映画館があり、車の往来も多い。
炭鉱で景気が良いのか、2ドアクーペタイプも目立つ。
本作撮影当時の留萌市の人口は約3万5,000人。
現在は約2万4,000人という。
増毛町も映画撮影当時は約8,000人の人口があり、繁華街もにぎわっている。
同作品では、元旦未明の増毛神社の様子が描かれていて、留萠本線に初詣列車が走っている。