読む鉄道、観る鉄道 (18) 『交渉人 真下正義』 - 東京の地下鉄で爆弾を積んだ「クモ」走り回る!
と当ててみる楽しさがある。
物語の重要なカギのひとつに、「脇線(連絡線)」の存在がある。
劇中では軍事輸送や政治家の脱出用などと、いかにも陰謀論として描かれている。
いわゆる「脇線」(連絡線)は実在するが、実際は「車両の検査を別の路線の工場で実施する」などの目的で建設され、ときどきこの線路を使ってイベント列車が走ることがある。
かつて小田急電鉄と東京メトロが運行したロマンスカー「ベイリゾート」も、千代田線の霞が関駅と有楽町線の桜田門駅を結ぶ連絡線を使用した。
劇中、その「脇線」の路線図が登場する場面がある。
もちろん架空だけど、路線網がおもしろい。
もうその線路で営業したらいいのに、と思うくらいたくさんある。
この作品の最大の突っ込みどころはここかもしれない。
『交渉人 真下正義』は、「踊る」シリーズのスピンオフ作品として、お祭り騒ぎのようなテイストになっている。
そこが筆者にはちょっと残念。
とはいえ、東京の地下鉄を舞台としたサスペンス映画が作れることを証明した功績は評価したい。
今後、東京の地下鉄を舞台とし、『サブウェイ・パニック』をしのぐ作品が出てくることを期待しよう。
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