山田隆道の幸せになれる結婚 (2) 妻の手料理と夫の気持ち
グルメ番組というものが、どうも性に合わない。
一流料理人が調理した高級料理から路地裏のB級グルメまで、とにかく様々な食べ物を名だたるタレントや文化人たちがこぞって絶賛したり、時に厳しく非難したり、そういう飽食の国ならではの批評的な構図が卑しく見えてしまう。
中でも「まずい」という台詞は、誰が発するにせよ、公共の電波では聞きたくない。
人間はいつからそんな傲慢な存在になったのか。
また、「うまい」だの「まいうー」だの、そういった肯定的な台詞も、あんまり繰り返されると嫌悪感を抱いてしまう。
人間の本能的な欲求である食欲というものは、それがゆえにどこか睡眠欲や性欲などと共通する部分があり、だから人間が食欲を剥き出しにする光景を見せつけられると、他人の性欲を眼前にしたかのような恥ずかしさ、あるいは低俗性を感じる。
この世のあらゆる欲望は、基本的に内に秘めたるものであって、大衆に晒すものではない。
丸々と肥えた上流階級風情がしたり顔でグルメを語るということは、表層的な気品を被っただけで、実は非常に下品な欲望露呈行為のひとつだと思う。
これは結婚生活にも通ずる話であり、夫が妻の手料理に対して「あーだ、こーだ」