山田隆道の幸せになれる結婚 (9) 「運命の人」とはいったいなんなのか?
つまり、「運命の人」とは神の采配によって奇跡的に出会うものではなく、自分が出会った異性の中から、自分が「この人だ」と任命するものなのだ。
そして、いざ特定の異性に「運命の人」という設定を与えたなら、結婚後はその設定を既成事実にしたうえで、あらゆる困難が降りかかるたびに、「彼女(彼)は自分の運命の人なのだから~」と自分に言い聞かせながら乗り越えていく。
ある種のおまじないである。
仕事における人材育成の極意のひとつに「地位や役職が人を育てる」という言葉があるが、この「運命の人」もまさにそういうことだと思う。
現時点ではまだまだ未熟な平社員たちの中から、もっとも期待できる人材を上司が勝手に選び、その人物になんらかの役職や肩書きを先に与えることで、人材育成を試みる。
そうすることで最初はその役職や肩書に不釣り合いな能力しか発揮できない人間でも、不思議なものでだんだんそれに見合う人物に育っていったりする。
上司も上司で、自分が任命した以上、強い責任感と忍耐力をもって人材が育つのを待つようになるわけだ。夫婦生活もこれに似た部分があり、最初から完璧な夫や妻、あるいは子供をもつ父や母はいない。