山田隆道の幸せになれる結婚 (15) 「籍を入れた責任」はどこへ?--”離婚率”の上昇と「樹木希林」の”美学”
離婚経験者に言わせると、離婚とは結婚以上にエネルギーを要するものらしい。
確かに想像に難くない。
もとは赤の他人の男女とはいえ、それまで何年も家族として生活してきたのだ。
財産分割の問題もあれば、子供の問題もある。
それまで夫婦の共有とされていたあらゆるものに、新しい方向性を見出さなければならない。
すべてをいったんリセットするためには、解決しなければならない問題が多すぎるのだろう。
それにもかかわらず、近年の日本の離婚率はずいぶん上昇している。
厚生労働省が発表しているデータによると、2000年代の離婚率は高度経済成長期のそれの約2倍である。
自分の周辺を見渡しても、離婚経験者は決して一人や二人ではなく、中には離婚経験が3回、4回といった猛者までいる。
しかも、それぞれが離婚歴を隠そうともせず、どこか堂々としているのも特徴的だ。
いつのまにか、離婚は恥の範疇ではなくなったのかもしれない。
離婚を恥と感じない人が増えたということは、すなわち「すべての離婚が必ずしも悪とは限らない」と考える人が増えたということでもある。
事情と経緯によっては、「離婚やむなし」とならざるをえない場合もあれば、離婚したほうがお互いにとって最善だ、と肯定的に考えるケースも少なくない。