*……擬宝珠(ぎぼし)というのは、高欄の親柱にかぶせる宝珠型の飾りのこと。橋などでも見られる。
――なるほど。外観の色なども記述があるのでしょうか。
藤井さん四層では部屋の内側が金で、外の柱が朱という記述があります。宣教師・フロイスの記述の中に「壁が青」と書いてあったりするんですが、これは窓の「桟」(さん)の部分のことだと推測されています。緑青色、つまりエメラルドグリーンのことを「青」と書いたのではないでしょうか。ただ、復元案によっては壁を青にされている方もおられますね。
――もし、宣教師の記述が正しいなら「壁が青」というのは相当派手ですね。
藤井さん配色としては派手ですね(笑)。あと瓦ですね。安土城の瓦は特別製だったんですよ。
――と言いますと?
藤井さん唐人の一観という瓦師(かわらし)が焼いた瓦を使ったと書いてあり、軒瓦に金箔(きんぱく)を貼(は)ったものが現地で発見されています。
――記述を頼りに少しずつ再現していくしかないんですね。
藤井さんそうですね。今から安土城の外見を正確に知る可能性としては、行方不明の屏風(安土山図屏風)を発見するしかないでしょうね。
これは信長から贈られて、宣教師ヴァリニャーノからバチカンのグレゴリウス13世に献上されたものです。