ときめき度120%!腐女子じゃなくても楽しめる…ソフトBLに学ぶ「恋愛の自由さ」
ちなみに『俎上の鯉は二度跳ねる』という続編も出ています。
◆大正ロマン×美しき男たちの恋
『櫻狩り』
こちらは『ふしぎ遊戯』でお馴染みの渡瀬悠宇さんによる意欲作。大正時代の名家を舞台に、その家の美貌の長男・蒼磨と心優しい書生・正崇との間に生まれる愛憎と破滅の物語です。正崇は予備校に通うため上京し、書生先である家を探している中で車に轢かれそうになった女性を助けます。
すると、その車に乗っていた青年から名刺を手渡され、そこから運命の歯車が動き出すのです。
長年の構想期間を経て発表された作品というだけあって、BLと言っても主役が男同士なだけで、軸足は重厚な人間模様を描いた大正ロマンといった趣き。時代設定も手伝ってか、思いのほか男同士のラブシーンに抵抗を感じないかもしれません。緻密な絵柄にも作者の気合いを感じます。
上巻ラストから蒼磨の抱える闇が明らかになっていき、なかなかにヘヴィな展開が繰り広げられるのですが、この作品もまた登場人物の心象が丁寧に描かれているので、ナチュラルに物語に入っていけるはず。
その先にたまたま男同士の恋慕が生まれただけで、根底には深い人間愛を感じさせられます。上中下巻でボリュームたっぷりなので、連休などに一気読みがオススメ。