そのランジェリーは、当時着けていたランジェリーの数倍の価格ではありましたが「試してみるだけでも……」と思って試着をし、鏡の中に映った自分を見ました。
当時、「もっと痩せなければ自分は美しくない」と考えていましたが、その鏡の中に映った自分の姿を見たとき、「今のままでもいいところはある」と思えるようになったのです。その感覚は”諦める”、”開き直る”とはすこし違う、”ありのままを認める”という感覚だったと記憶しています。
日本では、「体を補整する(バストのサイズを変える)」「洋服を着たときに透けないものにする」など、機能的な選び方をする傾向が強かったように感じます。ですが「この経験を伝えながら新しいランジェリーの選び方を広めたい!」と考えてから、私の気持ちの変化の正体について調べました。服飾分野にも広げて、被服と女性の心理についての本や論文を読み始めました。そこで、被服心理学(身に着ける被服が、人間の心理や行動において与える影響を研究した学問)に出会います。調べていくと、本の中にこんな記述を見つけました。
人は現実の自己像と常に向き合っているが、被服を媒介として理想的な自己像に少しでも近づく事が可能となり、その結果心にうるおいがもたらされ、心理的充足感が得られるものと考えられる。