オダギリジョー×永山瑛太。30代で人生の大切なことに気付いたら、仕事への気負いがなくなった
そのなかで「もっとできるのに」「わかってほしい」みたいな自分勝手なイラつきを抱えつつ、もがきながら闘ってきた気がするんです。でも、僕は30歳くらいのときにふとそういう気持ちから解き放たれる瞬間があって、以降はすごく楽になりました。大げさにいうと、いい意味で「仕事なんてどうでもいい」って思えたんです。仕事なんて人生のひとつの側面でしかないから、そこにだけがむしゃらになっていた自分がもったいない気がして……人間としてもっと豊かに営まなきゃいけないことがあるって気付いたんですね。それからは、気負いがなくなって自由になれたんです。仕事でもめることも少なくなったし、柔軟に対応できるようになりました。「自分は俳優だ」ということを引きずりすぎず、人間的な人生を歩めるようになったんだと思います。
瑛太:たしかに、自分の子がなにか問題を抱えていたら、ちゃんと向き合って何かを言ってあげなきゃいけないんじゃないかなって思ったりしますね。
たとえそのために僕が現場に遅刻して、こいつはダメな俳優だって思われてもいいから、子どもたちがその問題をどう前向きに乗り越えていけるかを一緒に考えてあげたい。30代後半になって、オダギリさんがおっしゃったような仕事以外の大事なものが、僕も身に染みてきたように思います。