「能楽」で好奇心の扉を開く。素敵なあなたにすすめたい和の習い事
(*1)シテ……いわゆる主役のことを指す。主に亡霊や神など人間ではない超自然的なものを演じることが多く、能面を着けて演じられることが多い。
――一番おいしいところは弟子がやって、しかも玄人の能楽師さんがサポートしてくださると。それは贅沢ですね。
谷本さん:習っていただく以上、楽しむことももちろんですが、ご自身の成長を実感していただきたいとも思っています。素人のお弟子さんでも、本物の能舞台で、玄人の能楽師の謡を浴び、いままでの成果を発表するということは、能を習う醍醐味かもしれませんね。
社中会に向けてひとつ目標が定まると、やはり目に見えてレベルアップされることがわかります。お弟子さんのそうした姿を見守れることは、教える側として大変楽しいことです。
また、仕舞であれば、囃子方という楽器奏者がついて行う「舞囃子(まいばやし)」、もっと進めば、能を一番舞うこと(能の作品を一曲上演すること)もできるようになります。能を上演するときには、ご自身以外の出演者はすべて玄人の能楽師で、能面や装束も本物を着けていただくことになります。
能を上演するとなると正直それなりに費用も必要になってきますので、もちろん強制ではありませんが、能を一番舞うことで初めてわかることもあることも事実です。