くらし情報『女ひとり、深夜の寄席へ【新世界を嗜む】』

女ひとり、深夜の寄席へ【新世界を嗜む】

がんばってね!」

後ろに並んでいる常連らしいカップルが、チケットを配る女性に声をかけている。知り合いなのかな?そんなことを考えつつ、寒さがそろそろ厳しくなってきたころ、いよいよ開場。

ぼんぼりの灯りが照らす会場に硬い雰囲気はまったくなくて、心なしか若い人が多い。周りを見渡すとみんなどことなく口角が上がっているような気がする。

席は座席とサイドの桟敷に分かれており、桟敷に座った女性ふたり組が慣れた手つきで早速おつまみを広げているのを横目に見つつ、今回は座席の方に座る。

幕が挙がる。あっ、女性だ。さっき表でチケットを配ってくれた人だと思い至る。


「落語は初めてというかたはどれくらいいらっしゃいますか?」と客席に問いかけ。手がぱらぱらと挙がり、少しホッとする。

彼女いわく、女性の落語家は全国で50人くらいいるらしい。

演目は古典落語の「紙入れ」。おかみさんに誘惑された男と女の噺だけれど、どこか色っぽい。

この日の出演は4名で、古典落語は「紙入れ」のみであとは全て新作落語。

演者が若いせいか、テーマも人工知能などバラエティに富んでいる。女性になったり、ロボットになったり、少年時代の自分になったり。

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