そういえば、この映画ではやたらとみんながタバコを吸います。これも時代なのかな……。
■オードリー・ヘプバーン、ここにあり
このように突っ込みどころは少々あるものの、それを補って余りあるのが、オードリー・ヘプバーンの圧倒的な存在感。第1子を産んで3カ月後に撮影に臨んだというから驚きです。
「わたしはレッドな気分になったとき、ティファニーに行くの」。そう語るホリーは映画のなかでさまざまな表情を見せます。天真爛漫だったリ、傍若無人だったリ。それでいて脆くて繊細。
この難役をオードリーは見事に演じ分けていますが、その好演に一役買っているのが多彩な衣装の数々。
髪をアップにしてリトル・ブラック・ドレスに身を包み、洗練された美しさを見せつけたかと思えば、髪をツインテールにしてタートルとサブリナパンツでラフにキメる。
全身ショッキングピンクで千鳥足で歩いていたかと思えば、上品なベージュのカーディガンを羽織って本を読みふける。そして、かの有名なラストシーンのずぶぬれのトレンチコート姿。どれもこれも完璧な着こなし。
ちなみに、身長170cmのオードリーはあのずぶぬれの状態で体重が36kgしかなかったとか。