真木よう子「うまくやる必要なんてない。自分が納得できる人生を選ぶだけ」
「数年前までは、とにかくがむしゃらだったんですよね。私が家族を背負っているって、勝手に思い込んでいたんです。でも、最近はもうすこし楽に考えられるようになってきました。愛している人たちとただ笑って、幸せに暮らしたい。それが一番いいなぁ、って思う」
強いまなざしが、ふっとやわらいだ。
「まだ35歳だし、そういうのちょっと早いかなとも思うんだけど」と、微笑む。
その心境の変化は、どこからきたのだろうか。
なんなんですかね……と、しばらく宙を見つめ、考える。
「……やっぱり、幸せになりたいじゃないですか。自分が幸せじゃないと、愛してる人を幸せにできないし。そのためには身体を大切にするとか、ストレスをためないとか、基本的なことが大事だなって気づくし。もしかしたらまたすっごく働くかもしれないけれど、いまはすこしゆっくりな時期なんだと思います。無理なく、自分ができるかぎりのお仕事を、しっかりやっていきたい」
あれほどお芝居にのめりこんできた女優が、ゆっくり過ごすことは、逆に勇気が要るのではないだろうか。世界はまだ、休むことを当たり前にできていないから。
「全然不安がないかと聞かれたら、もちろんそういうわけじゃないんです。