「好き」の気持ちに素直に、諦めずに続けること。人生は何歳からでも変わっていく
祟山くんの漫画は別格に好きで、友だちだからという贔屓もあるけど、彼という人柄や彼の暮らしのいろいろなことを知っているから、贔屓していいと思っている。ただ、そんな贔屓なんかなくても、きっと本屋で目が合えば買ったと思う。
理由なんてない。面白そうだから買う。どの絵もどのコマも物語の結末への道筋も、娯楽ホラーの領域を越えている。ホラーの要素を取り入れた文学なのだと思う。1冊でしっかりまとまる完璧な漫画。
■作者が私に、歩き始める勇気をくれた
書籍化が決まったとき、祟山くんは43歳になっていた。
40代に入ってから彼は新しい職業を得て、新しい人生を送るようになった。いろいろあって、1年半ひたすら漫画を描き続けていたのは奇跡や才能を越える努力の塊だ。
それに、「描きたいから」という最もピュアな創作の気持ちだけが溢れる時間をすべて魅せてくれた。動き続ける、勝手にやっちゃう。すべては「描きたいから」というシンプルな気持ちだと思う。そのピュアさが痛いほど私を導いてくれた。
「立ち止まっていないか?」「描きたい気持ちを誤魔化していないか?」
彼の漫画がアップされて読むたびに、私の本当の心が裸になっていった。