という方におすすめの1冊。
稀代のプレイボーイの医師・トマーシュをテレザとサビナという異なるタイプの女性が取り巻く三角関係の物語で、あらゆる哲学的な思想が絡み合って登場する読み応えのある文学作品です。
医師という高い地位を投げ捨ててまで守り抜きたいと思うほど、心の底から愛する人がいるにもかかわらず、愛人(サビナ他)と連絡を取りまくって、会う約束を取り付けた後に、妻のテレザを思い、後悔する。でも愛人に会わずにはいられない、トマーシュ。
そんな男性を、「最低のダメ男」と思う方は、この本は止めたほうがいいと思います(笑)。
我々の人生の一瞬一瞬がかぎりなくくりかえされるのであれば、我々は十字架の上のキリストのように永遠というものにくぎ付けにされていることになる『存在の耐えられない軽さ』(集英社文庫)8ページより引用
でも、ちょっとドキッとなさる方は、こんな悟りの言葉を思いながらも、次から次へと他の女を抱き、そして自分自身を抱き、愛しているという男トマーシュにハマることでしょう。
愛してもセックスをしても何か足りない、何かが埋まらない……そんな体験をしたことがある大人の女性は、読み進めるとおそらくは自分がテレザかサビナか、どちらかの立場になってトマーシュを追いかけることになります。