連載記事:わたしの糸をたぐりよせて
ママ友の執拗なダメ出し、夫への不穏な通知…もしかして不倫?!【わたしの糸をたぐりよせて 第5話】
前回からのあらすじ
幼稚園のママ友に誘われたお茶会は家チェックの場だった! さらにクラス委員長からの提案がさらなるLINE通知を加速していく…。そんなある日、幼稚園を休んだ友里は買い物中、背後に気配を感じるが…。
「幼稚園ママの詮索についていけない…夫があきれるママ友つきあい」
●登場人物●
友里:都会で就職し結婚したが、夫・亮の転勤で地元の街に戻ってくる
亮:友里の夫。友里から告白してつきあうように。息子の悠斗を妊娠して以来、夜の生活がない
カオル:悠斗と同じ幼稚園に通うママ友。
■もしかしたら外出先をチェックされていた!?
家に帰ってひと息ついていると、カオルさんからグループLINEのほうにメッセージが来ていることに気がついた。
『今日、幼稚園休んだんだって? 朝見かけなかったから心配になったけど、なんかあった?』
予防接種のことは園に伝えてあるから別に問題ないはず。そう思ってありのままを伝えてみた。そうしたら…。
『あのさー、幼稚園とはいえ学校なんだよ。自分の都合で休んじゃダメだよ。
土曜日混むからとかどうせそんな理由で平日に予約入れたんだろうけど、それは我慢しなきゃ』
私はドキッとした。
『そうですよ。先生だって内心快く思ってないかもしれないですよね。それに、帰りに買い物なんてしてたらあんまりいい気持ちしてないと思いますよ』
そう追い打ちをかけてきたのは、先日のお茶会で突然お邪魔させてもらったママさん。
たしかに、そう言わればそうかもしれない。
先生は、いいですよなんて言っていたけれど、あからさまに反対できる理由でもない。私は、グループLINEのなかで、以後気をつけますと送信した。
翌朝、またいつものように悠斗を幼稚園に送り届けると、カオルさんが背後から話しかけてきた。
「ちょっとあんたに話したいことがあるんだよね。いろいろ問題が起きないうちに伝えた方がいいって思ってさ。立ち話になるけどいい?」
少しならと言って、カオルさんに連れられた公園には、マキちゃん以外のこの間のお茶会メンバーがそろっていた。
「あんたさ、建前と本音の区別、ついてる?」
カオルさんに指摘され、私は口ごもってしまった。たしかに、相手の言葉を額面通りに受け止めてしまうところはある。短絡的な思考を自覚しつつも、苦手なところに目を背けている部分はあった。
「幼稚園としては、『親の都合で休んでも構わない』って言ってるけど、それは建前でしょう? 本音では、休んでくれるなってこと。そんなことも理解できないの?」
私はいくつもの冷たい視線に晒され、何も反論できないまま、ただただカオルさんから幼稚園で過ごす上でのルールや「母親とは」という理想論にうなづくしかできなかった。
結局、解放されたのは迎えの時間ぎりぎり……。
こんなことがあってからというもの、私は次第に周りの顔色をうかがうようになってしまった。
そうして、フルに幼稚園に預ける日々が始まったけれど、何かしら理由をつけられ、カオルさんたちに呼び出されては愛想笑いでダメ出しを受けるなんてことを繰り返すようになっていった。