「親戚のおばちゃんかよ」
大和は、私の7歳離れた弟の親友。
実家のすぐ近くに住んでいたこともあり、小さい頃からしょっちゅう家に遊びに来ていた。
私が独り暮らしをするようになった後も、実家に帰ればだいたい大和の姿があって家族同然の存在だった。
実家の母は、実の息子より大和のことを可愛がっていたっけ……。
だけど、大和が高校を卒業した後は大学が忙しいこともあってあまり家に来なくなり、私もほどんど実家に帰らなくなったので疎遠になっていた。
「元気だった?」
「36時間勤務中だから元気とは言えないけど、今のしおちゃんよりは元気かな」
「可愛くないなぁ、昔はもっと可愛かったのに」
「俺のこと、いくつだと思ってんの?」
いくつって……もう27歳か。顔つきも大人になったなぁ。「ちょっと北崎(きたざき)先生! 早く次の患者さんを診てくれないと終わらないですよ」
ベテランっぽい看護師さんが、パーテーションの向こうから顔を覗かせた。
それに大和は「やべっ」と小さく呟き、私に立つよう促す。
「そこのドアから出て右に行ったらレントゲン室があるから、行って来て」
「分かった」
レントゲンと聞いて、再び手首の痛みが激しくなる。