言われた通り診察室から出ようとした背後で、
「お知り合いですか?」
「幼馴染のようなものです」
「先生の初恋相手だったりして!」
「何で分かるの?」
看護師さんと冗談っぽく話す大和の声が聞こえた。
◆
予期せぬ入院
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「えっ、手術?」
「うん、橈骨の手首部分と……あぁ、尺骨骨幹部も折れてるね。手術した方が良いと思う」
レントゲンを撮り終わり再び診察室に入った私に、大和は画像が映ったディスプレイを見せた。
彼の指摘通り、素人でも骨が折れていることが分かる。
「手術は大和がしてくれるの?」
「いや、執刀は他の先生がされると思う。でも、俺も助手としてオペには入るよ」
「そうなんだ……」
「そんな不安そうな顔をしなくても大丈夫だよ。とりあえず、入院することになると思うから」
「入院!?」
思わず聞き返した私に、大和は目を丸くした。
だって、入院だなんて、そんなの……、
「無理! 日帰りにして」
「何言ってんの、日帰りなんて無理だよ。
2箇所も折れてんだから」
「何日くらい?」
「2週間くらいかな」