くらし情報『【連載小説】理想じゃない恋のはじめ方。(第2話)』

【連載小説】理想じゃない恋のはじめ方。(第2話)

「さすがに彼氏さんにパンツ買ってきてとは言いづらいでしょ?」

あぁ、そうか、そうだよね。

確かに彼氏に着替えの準備をお願いするのは、気が引ける。

というか、もうそんな相手もいなくなってしまったんだ……。

そう思った瞬間、また気持ちが重くなる。

新実さんは私が入院したことを知っているはずなのに「大丈夫か?」のメッセージすら送ってこない。

「ええと。着替えと、洗面道具と、パソコンと、ポケットWiFiと……先輩、ここで仕事するつもりですか?」

「するでしょ。幸い怪我は利き手じゃないし、腕以外は元気なんだから」

「もう仕事の虫なんだから。
先生に怒られても知らないですよー」

だって、入院しろと言われたけど、仕事を休めとは言われなかったもの。

パソコンとネットがあれば、病室にいてもプロジェクトを進められる。そう思ったから入院を承諾したのだけど、旭日の忠告は正しかった。

「しおちゃん、今何時だと思ってんの?」

ブルーの手術着に白衣を羽織った大和が病室にやって来た。

「えっと、2時05分」

「消灯はとっくに過ぎてるよ。こんな夜中まで仕事したらダメだ」

「いいでしょ、別に。

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