と、歯を見せて笑う。
大和の方こそ昔から変わってない。生意気で心配性で、可愛い弟分。
「そういや、警察の人から聞いたけど。空き巣犯を捕まえようとしたんだって?いつもそんなに勇ましいの?」
「違う……、あの時はちょっとむしゃくしゃしてて、お酒も飲んでいたし。気が大きくなってただけ」
「それならいいけど、次からは彼氏を呼びなよ」
「うるさいな」
「もしかして、彼氏いない?」
痛いところを突かれて、言葉に詰まる。
「そろそろ仕事に戻ったら?」
話題を変えた私に、大和は悪戯っぽい笑顔を浮かべて病室から出て行った。
◆
絶望
https://www.shutterstock.com/
手術は予定通り、無事に終わった。
鎮痛剤が上手く効いてくれたおかげで、術後もそれほど痛くない。早々に始まったリハビリも思っていたより辛くなかった。
「これなら早く退院できそうですね」
検温にやって来た看護師さんが、ニコッと笑う。
「そうですか」
「浮かない顔ですね、お辛いことでもありますか?」
「いえ、大丈夫です」
手術が終わっても、相変わらず新実さんからの連絡はこない。別れたとはいえ、部下であることには変わりないのに、気遣いの言葉1つ無いなんて……。