『しおちゃんが悲しいと、俺も悲しい』って、私よりも泣きそうな顔をしている大和が。
◆
ギャップ萌え
https://www.shutterstock.com/
「――――ん……、あれ」
どうやら眠っていたらしい。
ぼんやりとした視界がはっきりしていくにつれ、違和感を覚える。
ここ、私の家じゃない。一体、どこ……。
半分寝ぼけながらも、寝返りを打って驚いた。
「え?大和!?」
目の前には、スヤスヤと眠る大和の顔がある。
驚きのあまり固まっていると、長い睫毛がピクリと動いた。
「……しおちゃん、もう起きたの」
「起きたよ、起きた! ねぇ、これどういう状況?」
「どういうって、見たまんまだけど」
大和は、んんっ!て、伸びをしながらあくびをする。
それから私の顔を見て、ふにゃっと笑った。
「寝起きのしおちゃん、可愛いね」
「何を言って……」
やめてよ、不覚にもドキッとしちゃったじゃない。
「もしかして、ここって大和の家?」
「そうだよ」
へぇ……。
黒で統一された家具や家電に、お洒落なインテリア。
部屋の奥にある本棚には、分厚くて難しそうな本が並んでいる。