くらし情報『【連載小説】理想じゃない恋のはじめ方。(第4話)』

【連載小説】理想じゃない恋のはじめ方。(第4話)

ずいぶんと大人な空間だ。

「ねぇ、私、何も覚えてないんだけど」

「心配しなくても、何もないよ。酔っぱらったしおちゃんを連れて帰って、一緒に寝ただけ」

「酔っぱらったって、私、お酒飲んでないよ」

「うん、稀にノンアルで酔う人もいるからね。錯覚だけど」

まさかぁ、と笑いながらかろうじて残っている記憶を辿る。

頭の中に浮かんだのは、大和の背中に乗っている自分だった。

「大和がここまで運んでくれたの?」

「そうだよ」

「ごめん、重かったよね?」

「そっか、知らないか。俺、大学までロッククライミングをしてたんだ」

「ロッククライミングって、あの、大きな岩とかを登るやつ?」

「うん、そう。人並み以上に鍛えてるから、しおちゃんの体重なんて楽勝」

言われてみれば、背中の筋肉がすごかったかも。


腕もパッと見た感じは細いから分かりづらいけど、血管が浮き出ていて男らしい。

顔はどちらかというと中性的で可愛らしいのに……これぞ、ギャップ萌えってやつ?

「(いやいや、おかしいよ)」

どうして大和相手にドキッとするの。



負けるな、私

【連載小説】理想じゃない恋のはじめ方。(第4話)


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「おはよう、旭日」

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