月曜日の朝。
会社のエントランスでエレベーターを待つ旭日に声をかけた。
「おはようございます!先輩、今日元気そうですね」
「そう?」
「なんか良いことあったんですか?」
良いことは……無いかな。
だけど、久しぶりにゆっくり寝て食べて、泣いて愚痴ってスッキリした。
おかげで吹っ切れた。
「引っ越ししたの、会社からはちょっと遠くなったけど良い物件があって」
「へぇ!今度遊びに行っても良いですか?」
「片付いたらね」
新しい家は、完成したばかりの賃貸マンション。
偶然にも大和が住んでるマンションから徒歩5分くらいの距離で、近くに知り合いがいるという安心感もあり即決した。
「片付けなら私が手伝いますよ~」
「旭日はそれより、プロジェクトに集中して」
「あぁ……考えないようにしてたのに、胃が痛くなってきました」
例のプロジェクトは、私の同期が引き継ぐことになった。
旭日はその補佐。
頑張ってね、と肩を叩こうとした瞬間、彼女は誰かに会釈をした。
「おはようございます、新実課長」
「おはよう」
吹っ切れたはずの胸が、鈍く痛む。
「おはようございます」
「あぁ」