【連載小説】この恋は幸せになれない?好きになってしまったのは、奥さんのいる人。
そのひと時を一緒に過ごす相手が必要?私はそう思わない」
「じゃぁ、どう思うの?」
「必要なのは幸せになれる相手じゃない、不幸になっても良いと思える相手だ」
「え……?」
「この人とだったら例え地獄に落ちても構わない。苦しい時こそ手を握って一緒に頑張れる相手こそ、人生に必要なんだよ」
「お母さんはそういう人がいたの?」
「言っとくけど、私は昔も今もモテるんだよ。最悪な時に助けてくれる男は1人や2人じゃないよ」
祖母はずっと母の事を不幸だと言っていた。だけど、それは間違いだったのかな?母は母なりの幸せを見つけて生きてきたんだね。今になってやっと、ちょっとだけ理解できた気がするよ。
◆
再愛
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母は私の体調が回復した頃、また家から出て行った。もう新しく良い人がいるらしい。今度こそ運命の人なんだと言っていた。
私の運命の人は……悠真さんは私にとって「一緒に不幸になっても良い人」なのかな。考えれば考えるほど、分からなくなる。
「(ま、考えたところで、もう別れちゃったんだけどね……)」
失恋の傷はまだ癒えることがなく、時々こうして悠真さんのこと思い出しながら時間が過ぎ。