【連載小説】この恋は幸せになれない?好きになってしまったのは、奥さんのいる人。
「季節の変わり目で風邪を引いちゃったのかもね。今日はもう帰って休んだら?」
「そうしようかな」
「待って、仲西さんを探してくる。送ってもらうように頼むから」
「そんな大丈夫ですよ」
あ……もう呼びに行ってるし。結局この日は、仲西さんに車で家まで送ってもらい、そこから私は3日ほど寝込むことになってしまった。
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幸せの定義
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家で寝込んでいる間、ずっと夢を見ていた。隣に悠真さんがいて、笑っている夢。その夢の中では何の不安もなく、ただただ幸せだった。
目が覚めて夢だと気付いた瞬間、絶望感に苛まれる。
そんな中、何故か母が家にいて珍しく看病をしてくれた。
「具合はどうだい?」
「うん、ちょっとマシかな」
「お粥を作ったから、食べなさい」
「お母さんが作ったの?」
「何よ、私だってそれくらいできるわよ」
ベッドまで持って来てくれたお粥はお世辞にも美味しいと言えるものじゃなかったけど、その温かさに涙が滲んだ。弱っている時に優しくされるとダメだな……。
「しっかりしなさいよ、たかが失恋したくらいで」
「うん……。