2021年10月25日 16:08
【『最愛』感想 2話】 丁寧に積み重ねる描写がもたらす独特の体温・ネタバレあり
シャンパンの泡、グラスの音とともに乾いた空虚な言葉が行き交うシーンである。
そして、この回のラスト。夜中の帰宅途中、空腹の梨央が歩きながら食べていたシュークリームが、梨央の腕を引き寄せた大輝の胸で潰れる。
時に深く悲しみ、タフに戦い、そして加瀬という味方に見守られて積み上げてきた梨央の15年間が、ただ一つの小さなシュークリームで消し飛んでしまう。
それは心身ともに遠く離れていた梨央と大輝の二人の距離を一瞬で潰して0にしてしまう。
今回、何度も積み重ねた食事の場面の最後を飾る、鮮やかな逆転だった。
第2回にして、15年前の忌まわしい事件にまつわる謎が明かされる。しかし本当にそれで全てなのか、それより後にも何かあったのではないかと思わせる加減が絶妙である。
一つ何かが判明したあと、一つ過去を開く鍵が失われる。
そして、このドラマの素晴らしさの一つは、ロマンティックでありながら、同時にサスペンスとしても存分に怖くておぞましいという鮮やかな二面性である。
回を追うごとにますます深みを増すであろう物語が待ち遠しい。息をつめて金曜日の夜を待っている。
最愛/TBS系で毎週金曜・夜10時~放送
[文・構成/grape編集部]
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