【『ファーストペンギン!』感想2話】逆流を泳ぎぬけ!・ネタバレあり
その動きの鈍さ、現状ではまずいと思いながらも、暮らしを維持していかねばならない彼らの焦り。
それらの矛盾は、今現実の社会を覆う閉塞感そのもののように見えるし、脚本は彼らのがんじがらめのしんどさを、今はじっと静かに見据えて描いている。
2話を終えて、今のところは一難去って更に大きな一難といった具合で辛い展開が続くが、最初に書いたように、序盤の辛さは森下作品の大きな特徴である。
中盤から終盤にかけて『その時』がくれば、まるで一気に咲きはじめる花のようにあらゆる登場人物が、そして序盤では到底好きになれそうになかった敵役までもが魅力的に変貌し、主人公が乗り越えてきた苦難一つ一つに意味があったのだと実感する。ドラマを見続ける楽しさが、そこには詰まっている。
十年後の息子が語りかける優しいナレーションは、そこにたどり着くための地図なのだろう。
まだリクライニングシートを倒してリラックスとはいかないけれど、物語は希望に向けて旅立った。揺れながらも力強く目的地を目指している。
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[文・構成/grape編集部]
かな
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