2023年2月27日 12:24
父親に「トイレくらいちゃんと閉めなよ」という娘 母親の『ひと言』に、ハッとする
と冗談混じりに言うと「可愛い一人娘、まだまだ下手だからな〜」と苦笑いしながら返される。
自分から使った言葉とはいえ、父が面と向かって「可愛い一人娘」なんて言うと思っていなかった私は軽口を叩きながらも、自然と口角が上がる。そんなことが前にもあったのを思い出す。
いつかの年末に、親戚で集まった時のことだ。親戚の子どもたちが、私の父と遊んでいた。
私は前日の仕事の疲れから、その様子を眺めながらうたた寝をしていた。
親戚達が父に、「4歳は可愛いでしょ」「もう少し大きくなると生意気になるから怖いよ〜」「娘にもこのくらいの時に戻って欲しいでしょ」と口々に言うのが聞こえた。
母が「そうね、言葉を覚え始めた時が一番可愛いね」と笑いながら返すのに対し、父は「いやでもハタチを超えても、やっぱり娘が一番可愛いよ」とほろ酔いで答えた。
目を瞑っていてもなぜか父が微笑んでいるのがわかるような気がした。その声を聞きながら夢の世界へ移るあの一瞬は、今でも時たま思い出す、愛に包まれた幸せな時間だった。
無償の愛は誰しもが贈り、贈られるものでもないことに大きくなってから気付いた。
それに、その愛情に気付くのは大抵の場合、後からなのだ。