2023年2月27日 12:24
全盲の母が「1回限り」といって、頼んできたのは…?
2022年6~8月に開催された、エッセイコンテスト『第6回 grape Award』。
メディア『grape』のコンセプトである『心に響く』というテーマを軸に、身の回りであった心温まるエピソードや、心が癒される体験談など、作品を見た人が強く共感するようなエッセイを募集しました。
寄せられた643本もの応募作品の中から、最優秀賞が1作品、タカラレーベン賞が1作品、優秀賞が2作品、選ばれています。
今回は、応募作品の中から優秀賞に選ばれた『もう一度聞きたい「母の一回限り」!』をご紹介します。
思い返せば、母の挑戦はいつも「一回限り」という言葉で始まった。
「視覚障がい者マラソン大会か出来るんだって。お母さん、マラソン走ってみたい。一回限りだろうから、明日から一緒に走って!」
四十二歳、体重八十kg、全盲の母のその言葉に驚かされるが、私の母に二言はない。
唯一の家族である私は、必然的に伴走者となり、翌日からトレーニングを開始。三週間の練習の後、初の三キロレースで母は優勝、毎年大会は続くと聞き、翌日からも二人三脚での練習と大会の日々が続く。
「継続は力なり」「出来る人と違って、出来なければ人の何倍も何十倍も努力しないといけない」