くらし情報『【『大奥 Season2』感想4話】仲間由紀恵が新境地で魅せる、フィクションと現実を繋ぐ権力の闇』

2023年10月27日 18:49

【『大奥 Season2』感想4話】仲間由紀恵が新境地で魅せる、フィクションと現実を繋ぐ権力の闇

権力者の悪事は、滅多に暴かれない。

安全と効率を求めて人は集団を作り、集団を指導する者に権力を預ける。

だが権力者がその能力を持たない上に更に悪辣であった時、それを糾弾することが難しいのは、時代も性別も集団の規模も越えて変わらない事実である。

そんな現実にも通じるやるせなさを、脚本の森下佳子は巧みに物語の中に仕込んでいく。

この医療編の後半、原作に加えて映像化でオリジナルとして加えられたのは、治済の性格についての描写だった。

敵対関係でもない孫を殺す動機が理解できないと言う家斉に、定信は「世には人のもだえ苦しむさまを楽しむ趣味の者もいる」と、家斉を哀れむように返す。

ここは原作では動機の分からないサイコパスのように描かれていた治済について、更に一歩踏み込んだ表現である。

そして「人の苦しみを楽しむ者もいる」というその表現が、治済という人物の輪郭を更に明確にする。


【『大奥 Season2』感想4話】仲間由紀恵が新境地で魅せる、フィクションと現実を繋ぐ権力の闇

※写真はイメージ

それは例えばいじめであったり、性加害であったり、顔の見えない誹謗中傷であったり、相手を痛めつけることを目的とした卑劣な行為と根で繋がっている。

私たちがどこかで見て思わず目を逸らしてきたそれらの嫌悪感と、仲間由紀恵がどこまでも美しく艶やかに演じきった凶悪が重なって、未知の恐ろしさを創りだしたのである。

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