暴力をふるう子や、片付けが苦手な子 短所は『直す』のではなく…【きしもとたかひろ連載コラム】
と胸を張りながら冗談めかして答えると、「いや、ちゃうやん、すぐ失くすって言われてんねんで!怒らへんの?」と言われた。なるほど、陰口の告げ口に来てくれたのか。
陰口を本人に伝えるのは親切ではなく大きなお世話だ。とはいえ、その子に悪気がないのも分かるのでそれについては言及しなかった。
かわりに、「いつも失くしたり忘れたりしてるの助けてくれるから、よお知ってはんねん」と伝えた。「悪口」は嫌だけれど、「失くしたり忘れたりする自分」は、悪いことではないと思ってるよ、と。
大事なことを伝えたつもりだったけれど、その子にはピンときていないようだった。まあそれでもいいかと思った。
「延長コードってどんなん?」と聞かれたので、「コンセントをビヨーンて伸ばせるやつで…」とジェスチャー付きで答えると、「あるやん」と、その子は目の前の机の上に置いた延長コードを指さした。
片付けが苦手な子には、物の「帰る場所」を作ってあげると良い。と、支援の方法を教えてもらった。
どこにしまえばいいかわからないからその辺に置いてしまって部屋は散らかるらしい。そのままどこへやったのか分からなくなるのだそうだ。
なるほど、自分にも活用できるかもしれないからやってみようと思って、思ったまま何年か経った。