暴力をふるう子や、片付けが苦手な子 短所は『直す』のではなく…【きしもとたかひろ連載コラム】
いま問題が解決したと思ったが、正確にはまだなのだ。シェルフが届くまでは、いままでと変わらず爪切りに帰る場所はなく、窓の縁に野宿している。
では、いまの状況は何なのだろう。解決したとは言えないけれど、解決に向かって一歩を踏み出した。とりあえずはそういうことにしようか。
「教室から飛び出した子がいて」と、元同僚から聞いた話を思い出す。
追いかけてきた先生が授業に戻るよう声をかけると、その子は「友達と喧嘩をして、そのまま居たら殴ってしまいそうだから出てきたんだ」と答えた。
自分の行動を制御するために、その場を離れたらしい。
大人になっても感情のコントロールは難しいし、その感情を行動に表してしまう人も少なくない。
その子は、自分の感情がコントロールできないのを分かっていて、環境を変えて行動に出ないようにしたのだ。
授業中に教室を抜けることの是非は知らない。社会的に正しい行動なのかもわからない。けれど、その子のその行動は、評価されることだと僕は思う。
学童に通う子の中にも、すぐに手を出してしまって咎(とが)められて、その時は反省するんだけれど、それでもやっぱり感情的になったらつい手を出してしまう。