暴力をふるう子や、片付けが苦手な子 短所は『直す』のではなく…【きしもとたかひろ連載コラム】
「BluetoothやGPS機能を利用してスマートフォンでその位置情報を閲覧することができる、鍵や財布などにつける」という説明を読んでいると、「お前のためにあるような道具やな」と父は言った。奇遇だな、僕も同じことを思っていた。
そのパッケージには「なくすをなくす」と書かれていた。失くすことを無くすのか、素敵なコピーだな、と思っていると、友人が「なくすをなくす、それでも失くす」と呟いた。
自分のことを言われているのに笑ってしまった。そうだった。物を失くすのがぼくという人間なのだ。
危ない危ない、解決した気になっていた…と落ち込みかけていたが、続く友人の言葉に救われる。
「でも、だいじょうぶってことやな」。
ああ、いいじゃないか。「それでも失くす、でも大丈夫」。
失くしてしまうことは変わらないけれど、これを持っていることで「でも大丈夫」と安心できる。解決はしていないけれど、解決のほうは向いている。
でも大丈夫、と寄り添える大人でありたいな。この人が見てくれているのなら失敗しても大丈夫、と子どもに思ってもらえるような大人になりたいな。
失くしものをしても探せばいい。
忘れものをしても代わりになるものを見つければいい。