2018年10月26日 06:00
「介護後うつ」と10年闘った安藤和津を救った“2人の孫”
『介護後うつ』でしたね」(安藤さん・以下同)
相続や名義変更の煩雑さに加え、映画製作に進出した夫が、お金をだまし取られて負債を抱え、その金策に追われる重圧も、介護後うつをひどくしたのではないかと振り返る。
「遺品も穴のあいた靴下ひとつ捨てられず、ものではなく思い出さえあればいいと思えたのは、2年前のことです」
その間に起きた大きな出来事といえば、娘たちの自立と成功、そして、孫の誕生である。
「桃子は監督として独立し、サクラは女優デビューしました。娘たちが自分の道を見つけてくれたことが、生きる励みになったと思う」
新しい命も誕生した。
「3歳と1歳の2人の孫の存在がいま、私のなかではすごく大きい。介護と育児に共通するのは『おむつ替え』ですが、介護は死に向かって粛々と続けていく作業。でも育児は、躍動していく命を育んでいける。グレーだったキャンバスに鮮やかなピンクや黄色が塗り重ねられていくんです」
そして訪れたのが、昨年クリスマスの“うつ抜け”だったという。
「お笑い番組を見ていたとき『アハハ』と大笑いしていることに気づいて、自分でビックリ!それはまるで、胸につかえていた黒いカタマリが『ポンッ』と音を立てて抜けて出ていったようでした。