(撮影:Kei Sato)
中東の乾いた空に、大音量のダンスロックが響きわたる。初めて接したギター生演奏の迫力に戸惑っていた子どもたちが、2曲目になると手拍子しながら踊りだした。
抑え込まれていた好奇心がはじける。見てるだけじゃつまらないとばかりにギターの弦にさわってきたり、パーカッションを一緒にたたいたり。日本ではありえない光景に、ミュージシャンたちも愉快そうに笑顔で演奏を続けた。
昨年10月半ば、パレスチナ自治区にあるアイダ難民キャンプ。長年イスラエルの軍事占領下にあり、その象徴が、町のあちこちに築かれた8メートルもの「分離壁」だ。
約100人の難民の子どもを前にギターを弾くのは、LUNA SEAとX JAPANのギタリスト、SUGIZOさん(49)。
日本を代表する2つの人気ロックバンドやソロでの音楽活動に加え、多くの社会問題に取り組んでいる。
いつもアリーナ級の会場を満員にしている彼にとって、難民キャンプのビル屋上でのライブは、準備段階から異例ずくめだった。
「エレベーターもないので、重い機材をメンバーみんなと階段で運んだり。当然、ステージも照明もありません。演奏が始まると、中東流のうれしさの表現なのか、男の子たちがビュンビュン側転するのが、かわいくて。