市原悦子さんが望んだ「夫とともに並んで樹の下に眠りたい」
(30年来の友人)というほど献身的に市原さんを支えてきた。
しかし、市原さんの回復直後、塩見さんは肺がんを発症。’14年4月、帰らぬ人となる。
最愛の夫に先立たれ、憔悴した市原さんは不眠に陥り、夫の遺骨を抱えて自宅に引きこもった。心配した関係者が自宅を訪ねると、市原さんはこうつぶやいた。
「樹木葬って知ってる?」
樹木葬とは、遺骨を埋葬した場所の周辺の樹木を墓標とする、自然葬のこと。夫の死からちょうど1年後の’15年4月、ラジオドラマの収録スタジオで交わした会話を、大方さんは覚えている。
「えっちゃんはまだ相当、落胆していた。
人前ですので『悲しみは見せないぞ』と毅然としていましたが、私にはチラッと落胆ぶりが見えたんです。『樹木葬にしたいから、いいところを探しているの』とつぶやいたんです。そのころは、先立たれてもう丸1年はたっていました」(大方さん)
夫の死後、市原さんはずっと、「愛する夫が落ち着ける場所」を求めて探し続けていたのだ。ある芸能関係者は次のように証言する。
「塩見さんを亡くしてから、何をするにも虚空を仰いで、『どう思う?』と旦那さんに語り掛けたり、いまもいっしょに暮らしているような口ぶりでした。