元ひめゆり学徒・島袋淑子さん「“戦争は絶対ダメ”と言えるように」
戦後生まれの人が増え、戦争の記憶も風化し始めたことに危機感を感じてのことだった。
同級生たちは、街頭に立って募金を集めたり、講演で協力を呼びかけたりして、約2億円の寄付を集めた。自ら寄付をした同窓生も続出した。資料館の敷地の購入から、壕に入っての遺品集め、そして運営まで、すべて元ひめゆり学徒の手によって行われた。
’89年6月23日、ひめゆり平和祈念資料館が開館する日。島袋さんらは気が気ではなかった。
「ご遺族に、『なんであんたたちだけ生き残ったのか』と、責められるのではないか。消息がわからない人のことを聞かれたら、なんて答えたらいいんだろう、って」
元学徒隊のメンバーとは、「あるがままに話すしかないさー」と、事前に相談し合ったという。
「でも、実際に開館したら『あなたたちが生きてくれたから、資料館ができたのよ。ありがとう』と言ってくださって。それでやっと、私たちは生きていていいんだと思えるようになったんです。戦争の夢を見ることも少なくなりました」
資料館が開館してからは、元学徒隊が毎日交代で3人ずつ資料館に通い、“証言員”として説明にあたった。
しかし、年月とともに証言員は減っていき、現在残っているのは、島袋さんを含めた6人。