辻仁成流・恋愛の鉄則「新しい恋は焦らずに」(JINSEIのスパイス!第53回)
彼女が彼との結婚を決意したのは南仏のホテルのビーチでのこと。初めての夜を迎えようとしていた夕刻のアペリティフの時間。浜辺のテラス席にある4人掛けのテーブルに座ったのですが、彼はそのままトイレへ。するとステファニーの横の席に1人の老女がやってきました。ちょっと見た感じはホームレスっぽかったとステファニーは回想します。「座ってもいいかい、満席だから」と老女は言いました。「私たちは2人だから」と、ステファニーはその席に置いてあった荷物を移動させて譲りました。彼が戻ってきて、その老女に「よければぼくの隣にどうぞ。
そこは眩しいでしょ」と声をかけたのだとか。何事も快く引き受ける優しさがこの人にはある、とステファニーは思ったといいます。そして、老女が隣に移って座ると、彼は自分の椅子をその老女に近づけ、自分の母親にするように愛情豊かに語りかけました。その上、なんとギャルソンにシャンパンを3杯注文したのです。老女はびっくりし、その男性をじっと見ていました。ステファニーはその夜、彼に身体を許し、結婚を意識するように。「こんなに優しいジェントルマンなら絶対大丈夫」と思ったのだそうです。その半年後、2人は見事にゴールイン。