2019年11月29日 11:00
ALSを宣告された夫からのプロポーズ、女性が結婚決めた理由
「彼がALSと診断された約2カ月後に、プロポーズされました。心配する母の反対もありましたが、『彼と結婚したい!』という私の思いは変わりませんでした」
色白の頬に柔和な笑みをたたえて話すのは武藤木綿子さん(35)。木綿子さんの夫・将胤さん(32)は、大手広告代理店「博報堂」の広告マンだった’14年10月、27歳でALS(筋萎縮性側索硬化症)という難病の宣告を受けた。
ALSとは体を動かす運動神経が変化して、だんだん壊れていく疾患。手足をはじめ体中の筋肉が少しずつ動かなくなっていき、声を出すこと、食べ物をのみ込むことさえ難しくなり、やがて自発呼吸もできなくなってしまう。
その原因は解明されておらず、有効な治療法も開発されていない。日本では患者数が1万人ほどで、発症してからの平均余命は「5年ほど」とされている。
発症からすでに6年ほどたった現在、将胤さんは呼吸障害や、食べ物が喉に詰まる嚥下障害による窒息などの事故を防ぐため、気管切開と胃ろう(おなかに通した管から栄養を摂取すること)をしており、経口の食事ができない。
さらに手足も動かなくなってきており、自立歩行ができないため電動車いすで移動している状態だ。