2020年2月21日 20:17
『パラサイト』パク家主人の設定から見える韓国貧困層の“希望”
監督は、このまま貧富の差が広がれば、やがて“事件”が起こることを危惧しているのではないでしょうか。文政権下で不景気にあえぐ韓国社会に対する不満や富裕層への怨恨は、爆発寸前まで来ていることを映画で伝えたかったのかも知れません」
そう語るのは韓国人の作家・ルポライターの柳在順(ユ・ジェスン)さん。映画にこめられたメッセージについて解説しながらも、「貧困層の『希望』を描いてもいる」と付け加える。
「富裕層を代表するパク家の主人はIT社長という設定でした。しかし、彼の両親については一切語られないこと、さらには財閥系ではない会社の社長であることから、“パク家の主人は富裕層に成り上がったタイプなのではないか”と韓国の人は感じています。韓国国内の大企業は財閥系であることがほとんどで、“半地下”の家庭に生まれた子どもは彼らのようなトップにはなれない。これが現在の経済格差の原因であることは韓国国民もわかっていますが、起業してIT社長になれば、富裕層になれるかもしれない──と考えている人は少なくありません」
パク家主人の過去は、もう一つのシーンを見ても推察できるという。
「パク家夫婦が、“チャパグリ”が好物だということを語るシーンがあります。