2020年4月6日 11:00
生まれた娘は325g…“流産扱いの壁”乗り越え産んだ母の願い
まだ肺の機能がちゃんとできていないからと、すぐに呼吸器を挿管する処置があって」
涙が止まらなかった。触れたら壊れてしまいそうなほどに小さな赤ちゃんの小さな指先に、ママは指先でチョンと触れた。母子の最初の小さなハイタッチだ。そして、声に出して言った。
「生まれてきてくれて、ありがとう!」
それから、奈乃羽ちゃんは懸命に生きた。度重なる手術に耐え、時にママの目をじっと見つめ、最期はパパの腕に抱かれて、9カ月の人生を生き切った。
「そもそも、(火葬後は)骨が残らないんと違うかと思ってた」
こう敏哉さんは語る。佑里子さんが言葉を足した。
「ミルクもきちんとあげれてないし。入院中のレントゲンにも骨がうっすらとしか写らなかったから」
火葬を終えると、遺体の置かれていたところに、真っ白い骨がきちんと残っていた。
「それ見たらね、死んでしまったことは寂しくて悲しくてたまらないのに、うれしく思えて。『よし、この骨、全部拾うたれ!』と、2人で30分以上かけて拾いましたよ。1ミリのかけらだって残すまいと」
目を赤くしながら語る敏哉さん。その横で、目に涙を浮かべた佑里子さんが何度もうなずく。
「でもね、こうも思ってるんです。