コロナ疲れの今だからこそ知っておきたい“正義中毒”の根源
「近ごろ、コロナ疲れからイライラする人が増えていますよね。そんなときは特に、自分と違う意見をもった人に対して『許せない!』という感情がわいて、SNSを中心に攻撃を始めたり……。私はこれを『正義中毒』と呼んでいます」
こう指摘するのは、『人は、なぜ他人を許せないのか?』(アスコム)の著者で脳科学者の中野信子さんだ。
「たとえば有名人の不倫問題にしても、“みんなのルール”を破るなんて許せない、と強い怒りの感情が暴走し、心ない言葉でたたきのめしてしまう。自分の生活には関係ない、見ず知らずの人に対してもです」
私たちは、この正義中毒の状態に簡単に陥ってしまうという。
「その根っこにあるのは“不安”です。不安が攻撃という行動に駆り立てる。今の時代、攻撃の輪はSNSによってすぐに広がり、そのなかで『それは責めすぎだ』という人が現れれば、今度は『そういうおまえこそ悪い!』と、新たな標的をつくっていくのです」
この正義中毒が増えている背景には、「ネット社会」と「自然災害」、2つの要因があるのだそう。
「ネット上は多様な意見があるように見えて、自分とは違う意見をスルーしやすい環境です。SNSでつながっているのは、じつは気の合う人ばかり。