2020年9月7日 11:00
「自死した夫との約束果たしたい…」40歳で弁護士になった主婦
思い出の品物を見せてほしいとリクエストすると、最愛の人と撮った写真を机に並べてみせた。
「これは……、後ろに船が写ってるから横浜かなぁ。結婚前のデートのときですね~」
思い出の品物を見せてほしいとリクエストすると、女性は少し照れくさそうにしながら、最愛の人と撮った写真を机に並べてみせた。
「笑顔が本当に素敵な人なんです」
と、じつにうれしそうに話す。その瞳には、ハートマークが浮かんで見えるようだ。
「それで……こっちは結婚前に、主人に宛てて出してた手紙です」
彼女はこう言って、今度は大量の封書を、ドサッと机に置いた。
「遠距離恋愛でしたから毎日欠かさず1通、手紙を出していたんです」
乙女のようにほほえむのは佃祐世(さちよ)さん(48)。
そして、佃さんからあふれんばかりのラブを注がれたのが、夫の浩介さんだ。
「当時、彼は司法試験の勉強のまっ最中。電話だと大事な勉強時間を削ることになって、申し訳ないので。思いの丈は全部手紙に込めてたんです」
そんな、心遣いが奏功してか、浩介さんは司法試験合格を果たし、その翌年、2人はめでたくゴールイン。浩介さんは裁判官に任官した。
でも、永遠に続くように思われたラブラブな日々は、唐突に幕切れを迎える。