発達障害の息子を東大へ!“死を考えた”母子を救った医師の言葉
なんとか、思いとどまった菊地さんは、療育センターの主治医につらい思いをぶつけた。
「ちょっとしたことでキレて手をあげる大夢には、友達ができません。勉強だって授業をまともに受けられないから、きっとダメです。そんな子にこの先、生きていく価値なんてあるんでしょうか?」
すると、主治医は諭すようにこう教えてくれたという。
「たいがいの悪いことは、友達から学ぶもの。だから友達なんていなくたっていい。お母さんは勉強も教えなくていい。友達と遊ぶことも教えなくていい。
ただ1つ、将来彼が1人で生きていけるように、その方法だけを考えて、教えてあげればいいんです」
菊地さんは当時をこう述懐する。
「先生の言葉に、どれだけ救われたか……。だから私は、あの子に勉強を教えたことは、ただの一度もありません。そのかわり、お米の研ぎ方など家事全般を、小さいころからきっちり覚えさせました」
菊地さんは、「私はなんにもしていないのに、気づけば東大大学院生になった」と笑う。だが、母の愛、それに数々の工夫が、彼の才能を花開かせたことだけは、間違いない。
「女性自身」2020年9月22日号 掲載
娘「100歳まで作り続けてほしい!」 母親の作品公開に「レベルが高すぎる」