しずかちゃん演じた82歳声優の半生…1千万円使い込まれ裁判も
人手が足らなくて、マネージャーを雇っては『今日から、よろしくね』と、研修もしないで、現場に送り出していました」
結局、仕事の売り込みもできないまま、2~3カ月に1回、マネージャーが入れ替わる始末。これではまずいと、野村さんは声優業を『ドラえもん』と『サザエさん』だけに絞り、事務所経営に注力した。こうして約10年をかけ、会社の基礎を作り、扱うお金も大きくなってきたと思ったら、今度は経理担当者の1千万円の使い込みが発覚。
「ハンコもすべて預けるほど信頼して、親友だと信じていた女性の裏切りに、まさかという思い。裁判は3年近く続きましたが、相手側が自己破産し、お金は戻ってきませんでした。さらに同時期、その女性が中心となった独立騒動もあり、ある日、会社に行くと、マネージャー5人のうち、4人が次々に退職届を持ってきたんです」
誰もいなくなった、がらんとしたオフィスを見て“ここまでか”と弱気になりそうになる野村さんを、家族が支えてくれた。
「そばに内海さんがいたし、大学を卒業した長男が入社。“三ちゃん工場”みたいに、もう一度、家族3人で立ち上がろうって思えたんです」
新型コロナ感染拡大による影響で、新たな収録やイベントが中止になり、賢プロでも収入が半減した。