2020年10月14日 15:50
老人ホームで繰り広げられる青春恋愛、施設手作りの挙式も
食事の時間も常に一緒で、行事にも積極的に参加する2人は、ホーム公認のカップルだった。
真剣交際に発展した2人は「100万人に1人の相手と出会えた。残りの人生は夫婦として、一緒の部屋で生活したい」と、ホームに直訴。お互いの意志が固いことから、施設全体で応援しようと、手作りの結婚式を挙げることに。
「キリストさんのことは、ようわからん」というF夫さんのために、チャペルの代わりに、仏壇のある“お別れ部屋”で誓いの言葉を交わし、指輪に代えて数珠を交換。讃美歌ではなく般若心経を唱え、皆から祝福されたのだった。
■「私のことより、あの人を」思いやりに満ちた純愛
入居3年目のS郎さんは、パーキンソン病で、体が思うように動かない。日々、衰えゆく足腰に、リハビリの意欲も失せつつあった。
そんなときに入居したH美さん。彼女には、4年前に死別した妻の面影があったーー。
「妻のことは、ろくに看病してやれなかった。せめてH美さんの支えになりたい」。S郎さんはそう言って気力を取り戻した。そして、部屋に引きこもっていったH美さんの元に、足しげく通い、世間話をしたり、励ましたりするように。
「そろそろ車いすを作りましょう」