2021年1月7日 18:39
宿舎使用料が2倍に…原発事故避難者34世帯に非情の「追い出し」
「10年前の福島第一原発事故のあと、災害救助法に基づき、被害者に対して公営住宅を無償提供してきました。ところが福島県は、2017年3月に国の避難指示区域外から避難している“区域外避難者”の住宅支援を打ち切ったのです」
こう説明するのは、支援する会のメンバーで、自身も福島県から東京に避難中の熊本美彌子さん。
この住宅支援の打ち切りが問題の発端だった。
区域外避難者には、東電からの賠償金はほとんど出ていない。避難で仕事を変えることを余儀なくされ、派遣やパートの仕事しか見つからず収入が大幅にダウン。妻や子どもだけ避難している母子世帯もいる。こうした事情から、経済的に困窮している人たちも少なくない。そこにコロナ禍による収入減が追い打ちをかけている。
「福島県は、〈経済的な理由ですぐに退去できない世帯に関しては、国家公務員と同等の家賃を支払えば2019年3月まで住んでもよい〉という2年間の期限を設けました。しかし、2年過ぎても退去できない場合は“使用料を2倍”請求するというおかしな条項が契約書に入っていた。県は、事前にそれをきちんと説明もせず、しかも2017年4月になってから契約書を送ってきたのです」