2021年2月26日 06:00
逝去1年 志村けん秘話「弟子の見せ場を作るため、アドリブで」
「志村さんはほぼ毎日飲みに出かけるので、その送迎です。お店から出てくるまで、何時間でも車の中で待機して、自宅まで送ったら付き人の仕事は終わりです」
■「おふくろの前でいいところ見せようと」
毎年、お盆と正月に必ず実家の母・和子さんのもとに帰っていた志村さん。もちろん、げそ太郎さんの運転だ。和子さんはいつも大好物だった厚揚げを作って、息子の帰りを待っていた。
「家にあげていただくこともあるんですが、志村さんだけ出かけてしまったことも。2人になると、お母さんが『けんさん、どうなの?』と聞いてこられて。答えづらいですよね(笑)」
国民的スターだった志村さんも母の前では一人の息子に戻った。志村さんが’06年から毎年主宰し、ライフワークになっていた舞台『志村魂』に、和子さんは欠かさず訪れていた。
「毎回、志村さんは三味線を弾くんですけど、お母さんが見に来ていた日はかなりの確率で失敗していましたね。『おふくろの前でいいところを見せようと思って緊張する』って笑っていました」
開演前、まだ客が入る前のグッズ売場で、母の車いすを押しながら「どれが欲しい?」と聞いている母子の姿がげそ太郎さんのまぶたに焼き付いているという。