2021年3月5日 15:50
認知症の親の貯金に新指針 3条件を満たせば引き出し可能に
また、後見人を申請しても、決定までに3~4カ月かかることが多く、その間は銀行取引ができないという問題もありました。
そこで、全銀協が発表した指針には、預金者本人の意思を確認できないときは成年後見制度の利用が原則としながらも、次の3つが確認できれば出金等に応じるとしました。
(1)預金者本人との面談や診断書などで、認知能力がないことを確認。
(2)本人の医療費など、本人のために使うことが明らかな場合に限る。
(3)やむをえないときは投資信託等の売却にも応じるが、より慎重に。
独自の対応を貫く銀行もあるかもしれませんが、今後は全銀協の指針に従う銀行が多いと思います。
’25年になると高齢者の5人に1人、約700万人超が認知症になるとの推測もあります(’19年・厚生労働省)。認知症はだれもが人ごとではないので、全銀協の指針は助かる方が多いでしょう。
ですが、認知症になる前に、打てる手は打っておきたいものです。
たとえば、判断能力に問題のない方なら、入院など本人が動けなくなる事態に備えて、多くの銀行が「代理人キャッシュカード」を発行しています。預金者本人が手続きすれば、親族は代理人専用のカードが持てますので、後ろめたさもなく安心して使えます。