ぼけてしまった夫名義のお金はどう使うために妻ができること
を利用することになる。
「任意後見制度と比べると柔軟性に欠けるのが弱みで、不動産などの大きな財産を動かしたいときに厄介です。自宅を売却して夫婦で老人ホームに入りたくても、売却に家庭裁判所の許可が必要になり、手続きが煩雑になります。ほかに’07年に明文化された『家族信託』という新しい制度があり、不動産や会社の株式など大きな財産を管理したい人に向いていますが、専門家の手が必要なので、継続的な費用がかかります」(竹内さん)
■離婚を検討中。確実に「年金」を分割したい!
離婚をすれば、その後、夫は自分の人生の舞台から消えることに。とはいえ、夫婦として過ごした期間に築いた財産は分与され、離婚後の生活にも大きく関わってくる。そのひとつが厚生年金の「分割」。税理士でファイナンシャル・プランナーの福田真弓さんが説明する。
「『年金分割』とは、婚姻期間中に納めていた年金保険料を、離婚後に夫婦で分け合う制度です。たとえば、夫が会社員で妻が専業主婦の場合、夫が働いて年金を納められたのは妻の支えがあったからこそ。しかし、離婚をすれば夫のほうが支給される年金額が大きくなり、不公平感が生じます。年金分割制度では、厚生年金の支給額の一部を妻に移すことで、それを解消します。